ビジネスは、なぜ在庫を捨てるのか。
ある会社が在庫を廃棄した。環境に悪い、勿体ないなどと糾弾されています。
なぜ、非難を受けてまで捨てるのでしょうか。
安くしてくれたら買うのに。。。
本当に皆が買ってくれるのであれば、売っているでしょう。
結局、売れないか、売っても赤字なのです。
安く売るよりも利益があるから捨てているのです。
ではなぜなのか、考えてみましょう。
世の中の多くの品物は、見込み生産をしています。
最近は、欲しい人を募ってから生産を始める、クラウドファンディングみたいなものがありますが、あれにしても同じ内容で2回目を募ることはできません。
新鮮では無い品物に、多くの注目が集まることは無いためです。
その結果、
初回以降は見込みで生産をして、時間を掛けて欲しい人に売っていく形を取っているのです。
そこで問題となるのは、売れる前に腐ってしまった場合です。
八百屋さんを考えてみてください。
仕入れた新鮮な野菜が、見込み違いで腐ってしまった。
その場合は、どうなるでしょう。
できれば早めに安くしてみて、それでも売れなければ捨てるしか無いですね。
では、腐ると言うのはどんな状況なのでしょうか。
「もう売れない」状況と言うことです。
野菜では無く、他の商品の場合は、どんな場合に売れないのでしょうか。
流行遅れ、陳腐化、見込み違いでたくさん作ってしまった。などです。
もう、このまま持っていても売れない。
そんな時に、さらに後を押す事態が訪れます。
決算です。
上記のような、
もう売れない品物を持っているにも関わらず、利益が出ている場合には捨てることにインセンティブが働きます。
企業会計では、在庫も資産としてお金としてカウントされます。
利益が出ているのであれば、もう売れないと分かっている品物に対しても、法人税がかかるのです。
であれば、
決算前に捨ててしまった方が、良いと言う判断になるわけです。
在庫に置いておいても評価金額を減額できればいいのですが、税金逃れにも使える可能性があるため、認められないことが多いです。
利益が出ていない会社で、銀行から借り入れがある場合、決算をよく見せるためにその在庫をそのまま保持することを選択する可能性があります。
これは、粉飾決算みたいなもので、オススメできません。
私はこれを、「メーターが狂っている」と表現しています。
車で言ったら、メーター上は50kmを指しているのに実際の速度が80kmみたいなものです。
これでは事故になります。
在庫評価の金額は、現状を正しく反映した金額であるべきだからです。
また、
「今期末で棚卸在庫から抜いて、置いておいてじっくりゆっくり売ろう。」
これは、NGです。
脱税になっちゃいます。
というわけで、
環境や、もったいないというのはわかりますが、
企業が在庫を処分するのは、合理的な判断となることがあるわけです。
このあたりの詳しい説明は、以下リンクが参考になるかと思います。https://www.zaimupartners.jp/archives/5615
https://internet-kaikei.com/19tax/march/190328.html
Googleで「利益 決算前 在庫処分」などで検索するのも良いかもです。
まとめ
企業が在庫を捨てるのは、税制や市場のゆがみみたいなものが原因で、企業が悪いだけでは無いと思います。